「王道十六文(完全版)」あとがき
馬場さんに無理をいって『王道十六文』(上下巻)を書いてもらったのは全日本プロレスが旗揚げ15周年を迎えた昭和62年のことでした。「ああ、面倒臭い、もう本を出すのは中止だ」と、何度かペンを投げ出されたこともありましたが、それでも「自分の本当の歴史は自分だけしか分からないからなあー」と、思い直して、それこそ1年がかりで書き上げてくれました。あれから13年…その馬場さんも平成11年1月31日、私たちの必死の願いも虚しく、61歳の人生に幕を下ろしてしまいました。
馬場さんが元気だった頃からジャイアント・サービスの売店に「馬場さんの自伝の『王道十六文』はないですか?」と、聞いてこられるファンの方々が数多くおられました。そんなことから私は再び、馬場さんに無理を言って『王道十六文』の続きを書いてもらい、それを馬場さんのデビュー40周年記念の時に出版するつもりでおりました。ちょうど馬場さんには亡くなる前に『ジャイアント馬場/オレの人生・プロレス・旅』(平成10年12月発行)と、いう本を別に書いてもらっていたので、それと並行して『王道十六文』の昭和62年以降の原稿も暇な折りに書いてもらっていました。しかし、馬場さんは『王道十六文』の原稿を最後まで完成させることのないまま、逝ってしまいました。
でも、私はどうしても改めて馬場さんの61年間の人生のすべてをファンの方々に知ってもらいたい、という思いから、『王道十六文/完全版』を馬場さんのデビュー40周年を記念して出版することに踏み切りました。馬場さんが書き残した部分に関しては、40年前の馬場さんのデビューから取材を通して馬場さんの良き相談相手でもあったプロレス評論家の菊池孝さんにお願いして、締め括っていただきました。
「俺は38歳で引退してハワイに住む…」−それは馬場さんの昔からの夢でした。いろいろな事情によって馬場さんは38歳で現役から引退することはできませんでしたが、その分、38年間にわたってプロレスラーとして、本当に私たちに多くの夢と勇気を与えてくれた、と思っています。この本を通して馬場さんが伝えたかった“王道”の真意…王者の仁徳によって国をおさめる生き方の大切さを、知ってもらえたら幸いに思います。
2000年9月30日
馬場元子

